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第250回 “伝える”は、一方方向 “伝わる”は、双方向

2018年06月03日

職場でいいますと、上司が部下に“あれをしておいて”、“これを考えておいて”と一方的に指示をする場面に例えられますね。よくみられる光景です。逆に、上司が望むことを部下が「私がやります」自ら率先してやる場面もあります。これこそまさに“伝える”と“伝わる”の違いではないでしょうか。

“伝わる”という言葉は、“伝える”と一文字しか違いませんがその差は大きいものとなります。

前者の上司と部下の関係で言いますと、上司はしっかりと伝えたつもりが伝わっていなかった…。もしくは、部下が「はい」とは言ったものの心では納得していないという状況も充分に起こり得ます。

相手が自ら行動に移して初めて伝わったと言えるという事です。

スティーブジョブスの新商品発表のプレゼンテーションのレベルが低かったら商品の売れ行きにも大きく左右するはずでしょう。この“伝わる力”が向上すれば成果に大きな影響が現れます。

つまり“伝わる力”の向上は、組織の業績や利益・収益に大きく関わってくるものだという事がわかります。

しかし、成果に大きな影響を及ぼすこの“伝わる力”を感覚的に捉えセンスの有る無しで判断されている方が多いように思います。あなたはどうですか?

“伝わる”には、センスのありなしは全く関係がないと私は考えています。

ある結婚披露宴に参列した時2名の友人スピーチが始まったのです。その2名は新郎新婦のキューピットとなった男性と女性でした。

まずは女性のスピーチからです。

女性は、人前で話すことに慣れているのでしょうか。笑顔で歩きながらマイクの前に立つとアナウンサーのようなきれいで流暢な言葉でお祝いを述べました。もちろん、彼女のスピーチが終わると拍手が沸きます。

そして次に男性の番です。

その男性は自分の名前が呼ばれると紙を手に持って席から高砂の横に向かいました。明らかに緊張してガチガチでナンバ歩きのようになっております。その時点で会場に緊張感が漂いました。

そしてその男性は、紙を前に出して手紙を読み始めたのですが手が震えてしまって全く読めないのです。震える紙と、産まれたての小鹿のように怯えた姿に会場がざわめきました。

彼は、一生懸命手紙を読もうとするのですが声が出ません。「がんばれー」という女性からの声も聞こえます。

その時です!

その男性は悔しい顔をした後、彼は別人のようになって自分の言葉で新郎新婦との思い出を語りました。

その話の途中です。彼は、新郎を見ました。すると新郎は目を赤くして涙をためています。その姿を見た男性は「お前が泣くのは反則だよ」といってゲストを無視して、背中をみせて涙を堪えているのです。

その間はずっと無言です。しかし、言葉がなくてもゲストは皆、その姿に目頭を熱くしました。

そして、彼は「本当におめでとう!」という実感を込めた言葉で締めると、割れんばかりの拍手が会場中を包んだのです。

彼は、話上手でしょうか?話下手でしょうか?彼は、センスがあるのでしょうか?ないのでしょうか?

おそらく、話下手でセンスはないはずです。しかし、彼が会場中に感動をもたらしました。

つまり、“伝わる”本質は、話が上手い・下手、センスのある・なしを超えていると思うのです。

ここでこの話下手の男性が会場中に感動を巻き起こした3つのポイントをまとめてみたいと思います。

1:自分をさらけ出し、かっこつけていなかった。

出し切っていないプロよりも出し切った素人の方がよっぽど感動するとは、まさにこのことです。アナウンサーのように格好良く流暢に話すことが“伝わる”事ではありません。

彼は自分をさらけ出したことにより、お祝いしたいという想いがコップから溢れた水のように腹底から出てきました。だからゲストが感動したのです。逆に格好つけたり自分を装ったりすると、この腹底からの想いは溢れ出てきません。

2:その場に存在することができた

その男性は、名前を呼ばれて手紙を読むまではなぜその場に存在することができていませんでした。スピーチする理由が、「無事に速く終わらせたい」「緊張する」「失敗したらどうしよう」というものだったかもしれません。

しかし、手紙を振り下ろしてからは、“新郎新婦を祝いにこの場に来た”というスタンスに明らかに変わりました。そのため存在感がまし、ゲストを一瞬で惹きつけたのです。

3:実感して自分の言葉で語った

手紙を読むのではなく、彼は自分の言葉で新郎新婦へのお祝いの言葉を実感して語っていました。この実感して語るというのがポイントです。腹落ちしていて上辺でも嘘偽りでもなく言葉の奥に彼の純粋な祝福の想いが実感地としてこもっていました。ゲストの方の目頭が熱くなるのも当然です。

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