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第262回 負の遺産

2018年08月26日

以前に、世界遺産とは人類や地球の長い歴史の中で生まれ、受け継がれてきた人類共通の宝物であるという説明をしたかと思います。しかし中には、原爆ドームやアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所、ゴレ島など、果たして人類の宝と呼べるのか疑問に思うようなものも登録されていますよね。
これらは負の遺産と呼ばれ、近現代に起こった戦争や人種差別など、人類が犯した過ちを記憶にとどめ、二度と繰り返さないよう教訓とするために残されているものなのです。
日本の負の遺産、原爆ドームは第二次世界大戦で失われた多くの尊い命と、その戦争の悲惨さを忘れないために1996年、世界遺産に登録されました。
広島に原子爆弾が投下されたのは、今から73年前の8月6日のことでした。これは人類の歴史上初めて核兵器が使用された瞬間でした。原子爆弾は広島県産業奨励館付近の約580m上空で爆発し、強烈な熱線と爆風を受けた産業奨励館は、一瞬にしてほとんどの箇所が破壊されましたが、ドーム型の屋根部分は骨組みと壁を残して全壊を免れました。
この産業奨励館について、広島市民のあいだには、街に壊滅的な被害を与え、多くの死傷者をだした原爆の惨事を思い出させるとして、取り壊しを求める声も多くありました。しかし、核兵器の恐怖を後世に伝える象徴として保存を求める運動が広がり、廃墟となった産業奨励館は「原爆ドーム」として永久に保存されることになりました。
負の遺産は、世界遺産条約で正式に定義されているわけではないため、どの遺産が負の遺産に相当するのか意見が分かれるものもあります。しかし、過去の反人道的行為を反省し、現在でも様々な形で残る紛争や人種差別をなくすために、これら負の遺産が発するメッセージは大きな意味を持っていると私は信じます。
加藤

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