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第409回 最高の教師とは

2021年06月20日

子供に音楽を習わせるときにA・B・Cの三人の教師から誰をつけると最も音楽家として成功すると思いますか。

A:ほんわか優しく教える教師

B:ビシバシ厳しく教える教師

C:有名な音楽家

まず心理学的には『才能を開花させる人』をブルーマーと呼びます。これはBloom(花が咲く)+er(人)のことで才能が開花する人のことを言います。

実際の実験で心理学者のローゼンタールらはある学校で「テストをした結果この子供は将来、才能を開花させるはず」だと教師に伝えました。しかしこのテストというのは全くの嘘で、完全なランダムで決められたものでした。ですが1年後、2年後になるにつれてそのブルーマーだとされた生徒は明らかに成績が上がっていたのです。

これは教師が「才能があるはずだ」と信じたからだとされています。その結果教え方もあたたかくなりちょっとしたミスでも叱らなくなったからです。

これを心理学では『ピグマリオン効果』と言います。元になったのはギリシャ神話で彫像に恋をしたピグマリオンという男がいました。それを哀れんだ女神アフロディーテが彫像を本物の人間にしてあげたのです。すなわちこれは本物だと信じれば本物になるという神話です。転じて「ある人に才能があると信じて接すれば実際に才能がある人に育つ」ことをピグマリオン効果と呼ぶのです。

さらに重要なことがあります。心理学者ベンジャミン・ブルームは主要な国際コンテストでトップになったピアニスト21人に調査をしました。すると彼らは子供の頃から才能があったわけではありませんでした。せいぜい家族や近所の子供に比べて少し上手くらいでコンクールに入賞した経験もなかったそうです。さらに教えていた先生も決して一流のピアニストではなく大半が近所のピアノ講師でした。ただし、一点だけ共通する部分がありました。

最初の講師が、思いやりがあり親切であたたかい先生だったのです。

成功したピアニストたちはみんな、

「音楽への関心と喜びを教えてくれた」「楽しくて先生のレッスンが待ち遠しかった」「褒めてくれたり、色々な工夫があったりして練習が楽しかった」と述べていました。

さらに心理学者アンダーズ・エリクソンが多くの音楽家を調べた結果、プロが行った練習時間は必ず1万時間超えていることが判明しました。

すなわちプロになり才能を開花させるためには『練習』こそが必要不可欠であり、そしてそのためには『楽しんだり・好きになる』ことが重要なのです。

なので、一番最初のクイズの正解はAのほんわか優しく教えてくれる教師になります。

厳しくすれば子供にとってはイヤな記憶として練習がしづらくなってしまう危険があり、有名な音楽家だからと言って必ずしも技術が上がるわけではありません。一番大切なのはその子供を楽しませ『幸せ』を感じさせてあげることが、その後の人生でも楽しみ練習でき、その結果多くの時間を練習に注ぎ大成することが出来るのです。

先生を見つけるときはいかに優秀かではなく、いかに親しめて楽しい先生かを考えてあげてください。

福田

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