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第410回 短期記憶

2021年06月27日

短期記憶とは、短い間だけ覚えていられる記憶です。記憶は、保持時間に基づいて、感覚記憶、短期記憶、長期記憶に分類されます。
環境から入力された情報は、まず認知的な処理を受けないままの形で感覚記憶として数秒間保持されます。そのうち注意が向けられた情報については短期記憶に送られます。そして最終的に、短期記憶から長期記憶に転送された情報のみが、ほぼ永久に保持される事になります。
具体的に、駐輪場で自転車を取り出す時、自転車の置き場の番号を覚えておいて施錠の機械の所まで歩いて行き施錠します。この時、自転車から施錠の機械までが遠く離れていた場合、何度か心の中でまたは口に出して番号を繰り返し続ける事で覚えておこうとします。
このように、すぐにリハーサル(復唱)をしないと忘れてしまう記憶が、短期記憶です。
短期記憶の保持時間は、リハーサルによって情報を繰り返せば約15〜30秒間保持することができます。つまり、短期記憶の保持時間を伸ばすためには、リハーサルを続ければ良いわけです。リハーサルにより短期記憶に長く保持されていた記憶ほど長期記憶に転送されやすくなるという考え方です。
これに対し、短期記憶が長期記憶に転送されやすくなるためには、単なるリハーサルだけではなく、意味づけやイメージ化などを用いた精緻化リハーサルが必要だとする考え方があります。
精緻化リハーサルは、いわゆる記憶術に利用されているものもあり、次のようなものがあります。
場所法:覚えたい事柄を場所と結びつけて記憶する方法。
自己参照効果を利用した方法:覚える事柄を自分に関連する事柄と結びつけると忘れにくくなる方法。パスワードを覚えやすいものにしたい場合に、使っている方も多いのではないでしょうか。
サバイバル処理を用いた方法:自らの生存に関わる情報として認識する事でより記憶に留まりやすい。
短期記憶は保持時間も容量も限られています。新しい一日の始まりと同時に、短期記憶も新しく作られるのです。
忘れる事ができるからこそ、新しい知識を取り入れていける短期記憶の仕組みは不思議で、私たちに日々新しい可能性をもたらしてくれるものです。
人は忘れる生き物であることをポジティブに捉えてみると、目の前の情報がどれも新鮮に思えてくるのではないでしょうか。
外山

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