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第488回 ニーチェの提唱する価値観の逆転理由はキリスト教

2023年01月22日

古代では「いい」=良い(能力が高い)だったのは、現代において「いい」=善い(人を傷つけない)に価値観が逆転していると言っています。

ニーチェはこれを古来の「とにかく能力が高く強い方が素晴らしい」という考えを貴族道徳とし、現代の「能力が低くてもとにかく人を傷つけない方が良い」という考え方を奴隷道徳と呼んだそうです。

このように価値観が逆転した理由をニーチェはキリスト教が原因であるとしています。

それを理解するためにユダヤ教について知る必要があります。これは文字通りユダヤ人が作った宗教です。ユダヤ人の歴史は迫害の歴史と言えます。紀元前15世紀頃ヘブライといい場所に住んでいたユダヤ人は古代エジプト人に攻められ負けました。そして200年もの間支配され働かされていました。その後モーセを中心として60万人ものユダヤ人がエジプトから逃亡します。しかし彼らは結局40年近くさまよったそうです。その後パレスチナとい場所に自分たちの国を造ったのです。ですがその後別の国に攻め滅ぼされ彼らはまた奴隷にされてしまいました。よってユダヤ人の中には、いつかは神が助けてくれると言うような宗教観が生まれました。そしてユダヤ人の中に救世主であるキリストが誕生しました。

キリストは「隣人を愛しなさい」「右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい」というように徹底的な愛を訴えました。その結果、神の救いを求めていたユダヤ教を迫害されてもそれでも愛し続ければ我々は死んだ後天国に行けると変化させたのがキリスト教です。

ちなみにその教義はユダヤの人々にもさすがに異端で最終的にはキリストは処刑されてしまいました。その後キリストは復活したとされ、教えは本当だったと信者はその教えを強く信じるようになりました。

そこから世界人口の1/3もの信者を持つ大宗教に発展しているのです。すなわち迫害の歴史を味わうことで生まれたキリスト教が現代人の大半に浸透しているので強さや能力よりも誰かを傷つけずに弱者に優しくできることが最大級の価値になったのです。

ニーチェはキリスト教の由来を断定したと言うよりも一つの仮説として話している面があります。由来がどうであり「弱者を守り、優しくする」と言う考え自体は素晴らしいものです。全員がその神の教えを信じ、その価値観を持っているならば世界はもっと平和と幸福に満ちあふれているとは思いませんか。しかし、現実的にそのような世界であるとは言えないでしょう。故にニーチェは「神は死んだ」と唱えたのです。

福田

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