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2024年02月04日
現代の私たちの生活は限られた時間に対して消費しきれない膨大なコンテンツに囲まれた生活をしております。
あふれたコンテンツからいかに早急に結果や物事を手に入れるかと考える事が2022年に流行語としてノミネートされた「タイパ」という価値観を重視した生活様式が当たり前になってきました。
ドラマやYouTubeなど動画は倍速で視聴したり、倍速でも見てられない場合は動画の山場だけを1分にも満たない時間でまとめた切り抜き動画で消費する。TikTokやYouTube Shortsが流行るのも製作者が現代の消費者を考えた作りとなっているでしょう。
音楽に関してもこの「タイパ」の波が来ております。令和のヒット曲にはイントロの無い曲が多くあります。歌い出しから始まる曲やもっと早いとサビから始まる曲もあります。
音楽のサブスクが普及し、国内外問わず数千万の楽曲をスワイプするだけで聞くことが出来る現代では、スキップされないためにいかに速く聴く人の心を掴むかというタイパという価値観を重視することが不可欠といえるでしょう。
且緩々(しゃかんかん)という言葉はこのタイパの時代に逆行する言葉と言えます。
”且”という言葉は「とりあえず」という意味であり、”緩”は「ゆるやか」や「のろい」という意味。
少しでも早く悟りを開こうと矢継ぎ早に質問を繰り返す弟子に師匠である僧が説いたのがこの言葉です。
「ゆっくりやりましょう」と言うのは怠けているわけではありません。焦ることと手を抜かずに取り組むことは違いますし、慌てることと一生懸命なことは違うからです。
現代の速さに流されて焦っていると見落としてしまいそうな事も、この且緩々(しゃかんかん)という言葉で私たちを一旦振り返らせてくれるのではないでしょうか。
藤浪