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第93回 「学芸員」の役割

2016年06月19日

図書館に「司書」がいるように、博物館や美術館には「学芸員」という専門的な職員がいます。

多くの人は「学芸員って何?」「どんな仕事をしているの?」と疑問に思うと思います。確かに「学芸員」という職業は知名度が低く、一般的にあまり知られていません。

では「学芸員」とは何なのか?「学芸員」とは簡単に言ってしまえば博物館や美術館の展示物を製作・展示し、保管・研究をしている人達の事です。よく、博物館や美術館で展示室の前に座っていたりしている人たちを目にすると思いますが、あの方たちは大抵学芸員補か事務員の方で、通常学芸員は表舞台には出て来ません。主に裏方の仕事になります。博物館や美術館にある展示物を表舞台に立つ「役者」と捉えるならば、学芸員はそれを支える、または舞台を作る「スタッフ」と言えます。博物館や美術館に展示されている展示物は、その建物のテーマに合わせて学芸員がセレクトした物ですし、特別展示となると、それは学芸員の研究の成果を発表する場にもなるのです。

特別展とは、期間限定で行われる展示会のことなのですが、これを企画するのも学芸員の仕事になります。先ほども述べたように、特別展は学芸員にとって研究の成果を発表する場でもあります。特別展を計画するのはおよそ一年前かららしいのですが、そのテーマを研究する学芸員が中心となって特別展の企画を進めていくのです。展示物のすぐ側にある長い説明文のフリップを作成しているのも学芸員です。常設展でも同じことが言えます。特に特別展では、学芸員が色々工夫を凝らして展示空間を作っているので、長くて見るのが億劫になってしまう説明文も、少し立ち止まって読んでみると、学芸員の思いが伝わってくるかもしれません。そもそも、説明文と展示物は二つでセットなので、学芸員は観覧客がどういうルートで回ってみるのかを想定して、説明文と展示物を配置しています。展示物だけではなく、説明文やその配置にも、学芸員のこだわりが垣間見えるというわけです。

 

博物館・美術館には必ず学芸員を置くということが法律で決まっています。ここが「司書」との大きな違いですが、どちらも資格が必要な職業なので、資格がとれる大学に行くか、独自に専門知識を学ぶ必要があります。また、学芸員には「博物館実習」があり、これも資格を取る上で必須事項となってきます。

ここまで学芸員の仕事について触れてきましたが、博物館や美術館が生涯学習の施設であるように、学芸員もまた生涯学習の教育者という立場を担っています。学芸員は博物館や美術館に来る学習者のサポートをしなくてはいけないのです。ただ展示会を開く、展示物を紹介するだけではなく、学習者に対してより詳しく展示物の解説をしたり、学習者が学ぶ場を提供することも教育者の役割となってきます。

学芸員は知名度こそ低いですが、博物館や美術館になくてはならない存在です。また、生涯学習という点においても重要になってきます。地域よっては博物館・美術館を生涯学習の場として活用することで、地域の活性化を計っている所もあります。教育の面においても、学芸員は重要な役割を背負っているのです。いかに生涯学習支援の活動に関わっていくか、学芸員という立場からできることを模索していかなくてはいけません。それには、やはり地域との繋がりが大切になってくるし、学芸員そのものの資質も問われてくるのではないかと思います。

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