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第159回 世界の生涯学習~デンマーク~

2017年04月16日

北欧諸国は豊かな生活水準や充実した福祉国家政策でよく知られています。

デンマークでは、16世紀前半の宗教改革から18世紀後半の学校改革に至るまで、教会が主要な成人教育の機関でした。18世紀後半、近代市民の啓蒙思想がもたらされると夜間学校の設立が相次ぎ、国家は部分的に学校を教会の支配から解放します。1864年「国民国家」思想が台頭したときに登場したのが神学者グルントヴィによる国民啓蒙教育の思想でした。

グルントヴィが重視したのは「生きた言葉」としてデンマーク語でした。1844年に最初の国民高等学校を開校した後、農民が数週間のあいだ農作業をはなれ安心して学べるように、寄宿制の学校を設立しました。

デンマークの生涯学習にとってもう一つ重要な機会となっているのが、様々なアソシエーションによる活動です。アソシエーションとは、共通の目的や関心をもつ人々が、自発的に作る集団や組織のことです。デンマークにおけるアソシエーションの歴史は19世紀半ばに遡りますが、特徴的なのは農村で発達したアソシエーションが都市へと伝播し、労働者を中心とする政治的および社会的な力へと発展していった点です。

第二次世界大戦後はそのような労働者の力が各種スポーツを中心とする余暇活動分野へと広がります。スポーツや文化活動に関わるアソシエーションが急増し、公園や競技場、体育館が設備されるに従い、各地方の団体数も飛躍的に増加しました。デンマーク社会にとって、各種スポーツや文化団体などの余暇活動は、単に健康のために必要な活動ではなく「青少年を社会で育てる」機会だと認識されています。

このような19世紀半場から20世紀にかけてデンマークの生涯学習の主要な機関として機能してきた国民高等学校やスポーツや文化活動に対して、現在社会問題を解決するという期待が寄せられるようになっています。何度も取り上げている様に、ヨーロッパでは移民問題が深刻になっています。自由と平等を何よりも優先するデンマーク流のデモクラシーが、多文化社会でも通用するのか、新たな問いが浮かび上がっているようです。

岡田

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