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第163回 新卒社員の3割は人事が「神対応」しても辞める

2017年04月21日

「こんなはずじゃなかった」を解消するべく、就業体験という形でインターンシップを積極的に行う企業もある。だが、それでも「3年で3割」問題は、一向に解消する気配はない。なぜなのか。?この問題の一番大きな原因は、新卒採用のプロセスで「企業が学生に見せている姿」と「本来の姿」とのギャップにあるのではないか。まず大きな原因に、企業説明会と採用サイトがある。各社の人事は、旬の事業や輝いている社員を紹介して、学生に自社の魅力を紹介する。「入社したら自分もその仕事ができる」「同じように輝いた社員になれる」?学生は期待を寄せ、入社意欲を高める。しかし、実際の仕事は輝いたものばかりではなく泥臭い部分も多い。特に入社後の数年間は、下積みのような仕事をすることが多いだろう。?このギャップが、冒頭に挙げた「こんなはずじゃなかった」を生み出してしまうのだ。採用プロセスにおいて、学生は丁寧に扱われる。「出会った学生はSNS(Facebook)でつながり、毎日質問に回答しています」「学生との面談後は必ずエレベーターまで送ります」

「人事から『学生に良い印象を持って帰ってもらうよう』指示されています」「合同説明会でブースに来た学生には、一人ひとりに名刺を渡しています。『何かあればいつでも相談してください』と言うと、学生の反応が良い」もはや学生というよりお客さまといってもいいほど、丁寧な対応だ。一方、入社後はそこまで丁重に扱われることは少ない。上司と部下という関係のため、ときには厳しい言葉を受け取ることもあるだろう。ここにギャップが生まれてしまっている。ここまで説明してきたギャップを埋めるためにも有効なのがインターンシップだと考えられてきた就業体験を通してミスマッチを防ぐ効果が期待されたのだが、実際は、残念ながらその機能を果たせていないものも多い。学生に聞くと次のような答えが返ってくる。「インターンシップと言っても、会議室でグループワークをするだけ。たまに若手社員の人がアドバイスをくれるが、実際の仕事のイメージは持ちにくかった」?企業の中には、実際の職場に学生を入れて、実際の業務を任せるところもある。しかし、まだ全体の中で占める割合はかなり低い。中には「何があっても職場だけは学生に見せられない」という企業もある。なぜフロアに入れないのかを聞くと、「説明会で見せている企業の姿や社員と実際にはギャップがある。学生たちの失望を生むから見せることができない」という回答が。たしかに、一部ベンチャー企業のように、若手が活き活きと仕事をし、上司や先輩との関係もフラットで、普段からオープンな議論が交されているような、活気ある職場だったら問題ないだろう。しかし、若手がベテランにものを言える雰囲気でなかったり、明らかにやる気のない社員がいる職場だったり、私語ひとつなくシーンと静まり返りカチャカチャとパソコンを叩く音だけフロアに響いていたとしたら…。

以上のような状況が重なり合うことで、理想と現実のギャップの溝は開いていく。

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