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第166回 世界の生涯学習~ブラジル~

2017年05月14日

ブラジルは1822年にポルトガルの植民地から独立しましたが、独立後大きな課題となったのが、公教育の普及です。植民地支配の間、学校や社会教育施設などの生涯学習に係るインフラの設備は遅れており、さらに奴隷制によるプランテーション経営を展開していたため、1888年の奴隷解放後の被解放者に対する教育をはじめさまざまな教育課題が存在していました。

そのような社会背景から、ブラジルの生涯学習では義務教育を修了していない青年・成人の補償教育や識字教育が、国家の教育政策や地域の教育における重要な取り組みの一翼を担っています。ブラジルでの特徴的な識字教育として、一つは機能的識字教育をあげることができます。その代表的な活動には、国家レベルの「ブラジル識字運動」および「青年成人教育のための国家財団」があります。さらに、フレイレに代表される貧しい農民などの自立と連動した成人識字教育があげられます。

また、ブラジルは国土が広く、なかには通学が困難な地域もあります。そのため、補償教育的な機能も兼ね備えた通信教育が盛んとなっています。

ブラジルは多人種国家です。原住民に加え、ポルトガルやドイツ、イタリアやヨーロッパや日本などのアジアからの移民やアフリカから連れて来られた人々など、様々な人種が融合して文化を形成しています。そのためブラジルではさまざまな文化活動やスポーツ活動が盛んで、今日ではリオのワールドカップなど、文化やスポーツの分野で世界的に名をはせているものもあります。その基盤となっているのは、近隣の地域単位のものからプロ養成に至るまでの地域のさまざまなサンバスクールやスポーツ学校などで、これらは地域での文化・スポーツ活動の振興に役立っています。さらに、博物館類をはじめ、競技場など優れた文化・スポーツ施設も数多く建設されており、人々の生涯学習に寄与しています。

ブラジルの生涯学習政策は、国際機関や国際的施策と共同協調して展開するものも少なくありません。例えば1992年にリオで開催された地球サミット、2012年に再びリオで開催されたリオ+20があります。そして、2016年にはリオオリンピック・パラリンピックが開催されました。また教育省から分化したスポーツ省は、スポーツを核として総合的に社会の発展を目指す政策を実施すると同時に、このオリンピック・パラリンピックを契機に、地域での生涯スポーツの促進とスポーツ支援ボランティアの育成にも力を入れています。

岡田

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