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第178回 これからの生涯学習

2017年07月18日

一番最初に『「生涯学習」とは、人々が自発的に「自己の充実」、「生活の向上」、「職業能力の向上」の為に、学ぶ内容を選び、充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習のことです。』というように説明しました。

そして、これまで図書館や博物館、美術館の役割、生涯スポーツ、世界の生涯学習を取り上げてきました。それにより、現代の日本の生涯学習において様々な課題が見えてきました。

現代社会は、パーソナルコンピューターや携帯電話が普及し、日常生活にも欠かせないものとなりました。インターネットと電子メールを通じて、世界中から多種多様で大量の情報を集め、匿名の他者とのコミュニケーションをとることが容易になり、また、パーソナルコンピューターや携帯電話による情報発信機能は、「いつでも・だれでも・どこでも」社会参加と生涯学習の機会を生み出す可能性に開かれています。このような機能を積極的に活用できる、「情報選択・運用能力(メディア・リテラシー)」を身につける学習が求められます。

現在ではメディアの利点を生かし、地域の交流とつながりが生まれる仕組みづくりを進めていくこともできるようになりました。むしろ今の時代はメディアを活かした取り組みが主流になってきているでしょう。しかし、他方で個人情報の流出問題や、インターネットを介しての誹謗中傷などの問題が、大人のみならず子どもの間でも起こっています。また、真偽のわからない情報に惑わされ、誤った情報を元に行動を起こしてしまう可能性も孕んでいます。そのためにも、私たちには情報を見極め、選択し、安全に活用していく力である「情報選択・運用能力(メディア・リテラシー)」が求められているのです。こうしたメディア活用の適切な方法を学ぶことは、老若男女を問わず重要な課題となってきます。

また、私たちの暮らす現代社会の課題解決に共通することは、課題のそれぞれが世代内や特定の集団内のみで解決できる内容ではなく、世代・立場・活動内容を超えたつながりの視点から、ものごとを捉え直してみることの必要性です。社会には、年齢も職業も違い、人生や社会の経験も異なり、さまざまな考えを持った人々が暮らしています。個人や組織が、単独では解決できない課題を解決するためには、個人と個人、個人と組織、組織と組織が、相互に対等な関係を築きながら有機的につながり合い、協力しあっていくことが求められています。地域には、町会活動のほかにも、青少年育成活動、まちづくり活動、社会福祉活動、自主学習活動など、さまざまな自立的な活動が展開しています。このような地域のさまざまな組織、団体、グループ同士が連携したり、協働したりすることで、これまでにない発想を生み出したり、相乗効果による新しい可能性を広げることが期待できます。

また、これまで、多くの課題は「カネ」や「モノ」などの物質を投入する手法で解決することもできました。しかし、限りある社会資源を効率良く活用していくためには、人々が「知恵」を出し合い、新しい発想や仕組みを考え出し、課題を解決していくことが求められています。子育て支援、若者の社会的自立や社会参加、高年齢層の社会参加など喫緊といわれる個別課題も、複合的に捉えなおすことにより、多様な学習を生み出す互恵的な関係の場が生まれます。地域の多様な学習資源・社会資源がつながることで、多世代間交流の場、相互支援の場、次世代育成の場、学習成果の還元の場として再構成することが課題解決の鍵になっていきます。

これまで、「生涯学習」という言葉は、人生後半の趣味や生きがいづくりのための学習というイメージが強く持たれてきましたが、時代の移り変わりや私たちの生活様式の多様化にともなって、私たちが学ぶ環境や目的にも変化が現れています。今やインターネットを使いこなせないと時代に乗り遅れてしまいますし、様々なものが電子化されてきて便利な社会になってきています。しかし、全ての物を使いこなすというのは無理があります。そのため、現代では簡略化が進み、お年寄りや子供でも簡単に操作できる電子機器が増えてきました。充実した人生を送るために学習するということは、日々変化していく現在の社会を生き抜くための術を学ぶというように言えると思います。それは老若男女すべての世代に言えることであり、これから生涯学習の幅はどんどん広がっていくでしょう。そして、学習の方法についても多様化が求められる時代になってきたのだと考えることができるのです。

岡田

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