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第186回 民俗学とは何か

2017年08月20日

「民俗学」とは、民俗文化を内側から明らかにしようとする学問のことです。現代生活のなかに伝承される文化がいかに表現され,いかなる形で存在し,またどのように推移してきたかを,同国人的,同時代人的な感覚のなかで見きわめ,さらにそれぞれの理由を追及しようとするのが目的にあります。

19世紀後半ヨーロッパではイギリスを中心に成立し、その後スペイン、フランス、アメリカなどの国々に成立しました。主に「民族学」と区別するために「フォークロア」と呼ばれています。この「フォークロア」という言葉は、本来イギリスの民俗学の称で、19世紀のなかば1846年にウィリアム・ジョン・タムズが初めて使い出したことばである。従来、民間故事とよんでいたもの、すなわち俗信とか、なぞなぞ、伝説、昔話その他の口承文芸などを総称する親しみやすいことばとして案出されたものとされています。また、ドイツの民俗学は「フォルクスクンデ」とよばれ、語義はフォークロアと同じですがその翻訳ではなく、民俗資料を取り扱いながらその最終の目標を明確に説くものが多いです。またこれに反し、ドイツ民族精神を明らかにすることより、原始的非個人主義的な共同体の認識をもってフォルクスクンデの任務と説くという主張もあれば、一民族の特性を探究するにとどまらず、民族的観念の形成、伝播(でんぱ)、推移にあたって働く精神的勢力を追究しようとするものなど多彩であります。

「民俗学」とは簡単に言ってしまえば、それぞれの地域に伝わる伝承や言い伝え、文化や人々の生活習慣を研究する学問なのです。その中にはオカルトや妖怪、ハレとケ等、私たちの日常に根付いている文化も含まれているのです。「民族学」や「文化人類学」と比較されることがよくありますが、「民族学」は「エスノロジー」と呼ばれ、人類の文化を研究する学問をさし、広い意味における人類学の一部門であるとされています。人類学においては国によって学問的伝統が異なり、またいろいろな学派が存在し、さらに歴史的な変遷もあるので、民族学が具体的には何を意味しているかは一定していません。このように「民俗学」と「民族学」は研究する対象から違うのですが、「民俗学」は「民族学」が基盤にあることが前提です。その前提の上で、「日本の民俗学」とはどのような学問なのか探っていく必要があるのです。

岡田

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