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第507回 解凍=混乱=再凍結 レヴィンが提唱する変革の三段階プロセス

2023年06月04日

「社会心理学の父」とも呼ばれるクルト・レヴィン(1890―1947年)は、ドイツで生まれ、ベルリン大学で哲学及び心理学の教授を務めていました。しかし、1932年にナチスから逃れるために渡米。その後はアイオワ大学で児童心理学の教授となり、1944年にはマサチューセッツ工科大学にグループダイナミクス研究所を創設しました。

レヴィンの「解凍=混乱=再凍結」のモデルは、個人的および組織的変化を実現する上での三段階を表しています。

 

第一段階の「解凍」では今までの考え方やルーティンを変えていかなければならないという事を自覚し、変化のための準備を整える期間です。

第二段階の「混乱」では、以前のものの見方や考え方、あるいは制度やプロセスが不要になることで引き起こされる混乱や苦しみが伴います。

第三段階の「再凍結」では、新しいものの見方や考え方が結晶化し、新しいシステムに適応するものとして、より快適なものと感じられるようになり、ルーティーンの感覚が再び蘇ってきます。

 

ここで注意しなければならないのは、このプロセスが「解凍」から始まっているという点です。

私たちは何か新しいことを始めようという時それを「始まり」の問題として考えます。しかし、レヴィンは、何か新しいことを始めようというとき最初にやるべきなのは、むしろ「いままでのやり方を忘れる」ということになります。

人は元々自分の中に確立されたものの見方や考え方を変えることに抵抗します。したがって「なぜ今のままではだめなのか」「新しいやり方に変えることで何が変わるのか」という2点について納得ではなく、共感のレベルまで落とし込む必要があるからです。またそれが個人レベルであれば比較的容易かもしれないが自分以外の数人、さらには会社などの組織を変えるとなるとそれ相応の入念な準備が必要になるという事です。

充分な説明もなしに「このままでは危ない、進路もやり方も変える」と宣言されれば、充分な「解凍」の時間を取れないままに混乱期に突入してしまうことになり、「やっぱり以前の方が良かった」との反発の声がより強くなってしまう。となると、「再結晶」の段階まで行かず中途半端に挫折してしまうこととなってしまいます。

何か新しく始めるには、慣れ親しんだ過去を終わらせることが必要なのではと思います。

 

藤浪

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