https://www.fuji-advance.co.jp
〒470-1144 愛知県豊明市阿野町稲葉74-46
2025年03月23日
3月24日はマネキン記念日です。
1928年(昭和3年)の3月24日、東京・上野公園で開かれた「大礼記念国産振興東京博覧会」で高島屋呉服店が日本初の「マネキンガール」を登場させたのです。マネキン人形と、本物の女性(マネキンガール)を起用。これが現代の「ファッションモデル」の起源とされています。
この博覧会は、昭和天皇の即位を祝うために開催されたもので、その約2ヵ月間の入場者数は約223万人でした。
「マネキン」は、フランス語で「モデル」を意味する「mannequin」(マヌカン)の英語読みに由来します。しかしフランス語の「マヌカン」では「客を招かない」ということで化粧品会社が、客を招く「招き猫」と、スペルの英語読みを合わせて造語したといわれています。
世界最古のマネキンは、エジプトの王墓から発掘された等身大の木彫りの人形(王の代わりに衣装の仮仕立てに用いたとされる)という説があります。
19世紀にはヨーロッパの都市部で、洋服や帽⼦を展⽰するためのワックス製の⼈形がポピュラーとなります。これらはリアルな顔や⼿⾜を持ち、店頭での商品展⽰に利⽤されました。産業⾰命による⽣産⼒の向上とともに、⼤量の服が⽣産されるようになり、その展⽰⽅法としてマネキンの需要が⾼まりました。
20世紀初頭、ワックスに代わって、パルプ(紙パルプ)を原料とした軽くて扱いやすいパピエ・マシェ製のマネキンが登場。⼤量⽣産が可能となり、多くの店舗で採⽤されるようになりました。
1950年代以降、プラスチックやガラス繊維強化プラスチック(FRP)製のマネキンが主流となりました。これにより、⼤量⽣産や多様なデザインが可能となりました。
1970年代〜1990年代のマネキンは⾮常にリアルで詳細な顔⽴ちやポーズを持つものが主流となりました。また、異なる⼈種や体型を反映したマネキンが⽣産されるようになり、多様性が尊重されるようになったのです。
2000年代に⼊り、顔の詳細が省略されたシンプルで抽象的なデザインのマネキンが主流と変化しました。リアルなものだと逆に苦手だという声もあったのかもしれません。
近年では、3Dプリンティング技術の発展により、オーダーメイドのマネキンや特別なポーズ・デザインのマネキンが⼿軽に作成できるようになります。また、環境問題への認識の⾼まりとともに、再利⽤可能な素材やエコフレンドリーな製法を取り⼊れたマネキンが増加しているそうです。
最近では、VRやARを使用して、仮想的なマネキンを展示する技術も出現。生体認識技術を利用して、実店舗において顧客の体型に合わせて仮想的に服を試着することが可能となりました。
このように、マネキンの進化は時代の技術や価値観、そしてファッションのトレンドと密接にリンクしてきました。
マネキンは、商品を魅力的に見せるためのツールです。ファッションやスタイルのトレンドを示し、私たちに新たなインスピレーションを与えてくれます。その存在は、広告や店頭ディスプレイにおいて重要な役割を果たしています。
マネキンには、人間のような生命力はありませんが、その美しさと表現力は私たちを惹きつけます。服のドレープやポーズの表現、顔の表情など、マネキンは無言のままに私たちに商品の魅力を語りかけてきます。その美しい姿勢や誇らしげな態度は、人間の身体の美を象徴しています。マネキンは、まるで生きているかのように見えますが、その背後には職人の技術とデザイナーの創造力があらわれていますね。
外山