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2017年04月02日
「風姿花伝」には、女性や老人など様々な役を演じるにあたっての心得が記されています。そこには、
「もとの姿によく似せることが本意である」
と書かれていますが、単に姿形をまねよというわけではありません。例えば、老人の項では、
「腰やひざをかがめ、ことさらに老人らしく見えるようにするのがいいのではない。年寄りの若振る舞いこそが大事な要点なのだ。」と言っています。
年寄りは若振りたいもの。でも老いた体がそれに追いつかない。こうした年寄りの心情を理解し、振る舞いに落とし込む。そこまで鍛錬を重ねることで、観客を魅了する老人を演じられる。ここに物まねの本質があると、世阿弥は教えているのでしょう。
真似ることは大切です。全ては物まねから始まると言ってもいいでしょう。その過程を飛ばして「自分はできる」と思っている人はまず成長しないでしょう。かといって、まねはしても表面的なことをなぞるだけにとどまっていたら、それもまた同じことです。どうしたら本当の意味での物まねができるようになるのか。それには現状には満足せず、もっと感動を届けたいという気持ちを持ち続けること。それが仕事につながって初めて、物まねができたと言えるのではないでしょうか。
山本